これまでのこと。

地震以来、おかしかった。そして、いまもまだおかしい。そんな自分をだらだらと記録しておこうと思う。


すぐ後の2、3日は気持ちが落ち着かず、いつにもまして集中力がなくなり、仕事がまったくはかどらなかった。不安とか心配とか、そういうのでもない。ただ、誰かに胸の真ん中をぎゅーっとつかまれている感じで、深く息ができないのだ。
これって何なんだろう、自分にいま何が起きているんだろうとしばらく考えて、気がついた。私はショックを受けている。おそらく、地震直後、TVで津波が街と人々を飲み込んでいく様子をオンタイムで見た影響なのだと思う。あのとき私は、涙が出るよりも先に吐きそうになった。そんな自分にもショックを受けたのかもしれない。そのことを自覚したとたん、涙が出た。そして、その後しばらくは何を見ても被災された方々のことが頭に思い浮かび、そのたびに涙が出た。
でも、「被災していない人間に被災者の気持ちがわかるわけがないのです」という、阪神淡路大震災で被災された西宮市議今村岳司氏の言葉に目を覚まされ、そうだよな、と思うと涙はおさまった。人の心の悩みを聞く勉強をしていたときに言われた、「あなたたちは基本的におせっかいをしたがる人間だということを自覚するように」という講師の言葉を、もう一度かみしめた。


さて、ならば自分にできること、いましなくちゃいけないことは何だろう。
被災した方たちには、かける言葉がいまだに見つからない。
「自粛」なんて言葉も、おこがましい感じがして口にできない。
もともと、たくさんの人たちと一緒に何かをする、言う、ということが苦手なので「がんばろう、日本」、「(被災していない)私たちががんばらなければ」と言われても、「そうだ!」と一緒に手を挙げることもできない。そんな、意気地のない自分が情けないのだけど、これはどうにもしようがない。
ならば、自分の好きなことをしながらみなさんを応援していこう。そう思って、Raphaのチャリティライドやうすはりグラス&器屋さんのチャリティーバザー、味スタでのFC東京×横河武蔵野FCのチャリティ練習試合観戦などに参加しているうち、だいぶ正気に戻ってきた(と思う)。


ただ、今回の震災は、津波という直接的な被害だけではなく、原発放射能による被害も甚大。それによって、私にとって大切な人たちの暮らしが脅かされている。ただでさえ余震とガソリン不足に苦しめられているのに放射能の危険が迫り、家から出られない、もしくは子どもことを思って他の地に疎開しなくちゃいけない。100頭余りの乳牛を抱えながら、その原乳を破棄しなくちゃいけない……。そんな人たちのことを思うと、止まっていた涙がまた流れ、私の中に怒りがふつふつと湧き上がってくる。


この怒りをパワーに変えられたらいいのになあ……とぐずぐず思っていたとき、震災以来ライフラインが断たれて困り果てている山形の知人に、「元気なところは元気でいてほしい」と言われた。そうだね。元気が出るまでにはまだ少し時間がかかりそうだけど、元気を出そう、という気持ちにはなってきたよ。実際のところ、ただでさえ仕事が減っている上に今回の震災でいくつかの仕事が延期&キャンセルとなり心は萎えがちだけれど、動かないことには何も始まらないものね。